奥羽大学歯学部附属病院

初のフイルムレス運用に向けた大学病院内全体での取り組み

杉田 俊博 先生

奥羽大学
歯学部附属病院 病院長

杉田 俊博 先生

今までフイルム運用でしたが、今回PACSを導入するに至った
経緯を教えてください。

当院では今まで医事会計や予約システムがIT化されていましたが、複数年計画でPACS・オーダリング・電子カルテを段階的に導入することを附属病院の中期計画に据えていました。まずはSTEP1との位置付けで、歯科撮影装置の更新と共にPACSを導入し、X線画像のデジタル運用をスタートさせることに決めました。

NOBORIを採用した経緯を教えてください。

当院では初のPACS導入ということもあり、はじめからの高額な投資を避け、段階に応じて容易に拡張ができるシステムであることが望ましいとの考えがありました。その点でクラウドの特性を活かしたNOBORIでは、初期投資が掛からず将来的な運用スケールに適応できる拡張性の高い仕組みであるため、まずはsmall startしたいとの当院の想いと合致したことが1つの要因です。
また、当院では情報システム担当の専任スタッフを配置していませんので、管理者は他業務との兼任になります。

24時間リモート監視機能により日常点検が不要になること、障害頻度が最も多いと言われているHDDを使わずSSDを搭載していること、複数あるCUBE間で各機能を移行できるため万一の停止時間を抑制する仕組みであることなど、システム管理者の負担を最大限に減らすことができる観点でもNOBORIは優れていると感じました。
全国のクラウド型PACSで一番採用されている仕組みであるだけでなく、歯科大学での実績や経験も豊富にあるとのことで、標準機能で歯科に対応できる点は当院にとっても大変喜ばしいことでした。

NOBORI稼働に向け苦労した点を教えてください。

院内全体で使用する本格的なシステム導入は初めてであり、院内のネットワーク構築や参照用PC端末の新規調達など含め課題は多岐に渡りました。今回、当院では無線LAN環境を整え、新規調達は全てノートPCにして可動式の机に乗せました。その結果、並んだ複数の歯科ユニットでPC端末を共有利用しています。

可動式の台にノートPCを置き、チェアサイドで患者に説明

各メーカーには運用開始前に全職員に対する説明会も実施していただきましたが、はじめての試みということもありデジタル移行における後ろ向きな意見も多く耳にしました。当院では、若手を中心としたリーダーシップのとれる各科の代表者を集めたワーキンググループを形成しており、このワーキングメンバーに本プロジェクトの中核として動いてもらいました。ワーキングメンバーは、グループ内での意思決定⇒各科への伝達・共有⇒各科意見の取りまとめ⇒グループ内で再検討、のサイクルを何度も繰り返しました。その結果大きな問題もなく稼働を迎えることができました。

Viewerを使って医師やスタッフで認識を共有

また、本稼働前のプレ稼働として、アナログとデジタルの平行期間を3週間設けてデジタル化への免疫をつくったことも、安定稼働したひとつの要因になっていると思います。NOBORIの皆さんにはプレ稼働の段階から手厚くフォローしていただきました。

杉田病院長含む各科代表者を集めたワーキングメンバーの皆様

実際にNOBORIをご利用になられてのご感想を教えてください。

NOBORI-CUBEは非常にコンパクトでスペースを取らないので、管理面も考慮して放射線科に置いています。
Viewerに関しては歯科特有の仕様にも対応しており、何の問題もなく快適に使用しています。当院のデンタルは10枚法撮影を用いていますが、両側8番を再撮するケースがあり、その画像を見落とさないようにするため、14枚法の表示枠でデフォルト表示しています。
そして何より問題なく稼働を迎えることができたことと、今も安定稼働していることが大きいです。これはシステム的な話もそうですが、NOBORI導入決定から稼働までに説明会やワーキンググループにも積極的に参加し、当院の運用に合わせたフォローをしてくれて大変助かりました。

8番の再撮があっても表示できるレイアウトにした(撮影は10枚法)

放射線科内にあるラックにNOBORI-CUBEを設置

カンファレンスやミーティングに利用する大型モニタも設置

奥羽大学歯学部附属病院様での今後の展望を教えてください。

当初の計画に則り、STEP2のオーダリングシステム導入、STEP3の電子カルテ導入に向けての準備を進めると共に、それに伴うPACS側の連携構築や、Report/RISなどの機能の拡張を検討しています。

奥羽大学歯学部附属病院

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歯科医学とともに進展しつつある先進医療の実践とともに、地域社会に対する医療福祉の中核的歯科医療機関、歯科医師を養成する教育機関、高度化・細分化の進む歯科医療に対応する卒後研修機関としての使命遂行に努めている。

総合リハビリテーションセンター みどり病院

総合リハビリテーション みどり病院 新潟県内初のNOBORI稼働

診療支援科 放射線技師の皆様(右:橋本副科長)

診療支援科
放射線技師の皆様

橋本副科長(右)

PACS導入を検討された経緯を教えてください。

これまではフィルム運用で、自院で構築したフリーのPACSで画像データを蓄積していました。利用開始から8年経過し、ソフトウエアのupdateもなく、ネットワークやハード的にも不安定になり限界を感じていました。医師はフィルム運用であることを忘れているかのように、PDI作成を依頼してくるようになり、相手先で読み込み不良が起こっても対応しきれない状況でした。

電子カルテの導入を機にネットワークも敷設しなおすことになり、何よりもフィルムレスへの移行を目的とし、PACSの選定を始めました。

NOBORIを採用された理由について教えてください

PACSの選定にあたっては、複数社に仕様書を提出し、提案・見積を入手しました。重視した点はシンプルであること、5年先のリプレイス、10年先の運用についても考慮にいれました。もちろん、初期導入費用と保守等の運用費用も含めてです。NOBORIのコストと実績は管理部門を説得する材料として非常に有効でした。

情報に詳しい担当者がいなくても運用できること(トラブルがあるたびに、担当者が病院に駆けつけるということをなくしたかった)、リプレイス時の買換えを考えなくていいこと、拡張性と将来性があるという理由でクラウド型PACSに力をいれているNOBORI が有力候補でした。

外部保存を行うにあたっては、厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインをはじめ、経済産業省、総務省のガイドラインを確認し、外部保存の要求事項を満たすか確認を行いました。サービス利用規約にない事項には問い合わせを行いました。当初、外部保存は管理の楽な方法と考えていましたが、実は医療機関の責任が大きいことも感じました。

最終的に選定のポイントとなったのは、導入実績とコストです。全国380施設のユーザー実績は何よりの説得材料でした。他方で、新潟県内初のNOBORIユーザーとなることも魅力的で、ファーストサイトとして、色々と面倒みてくれると期待しています(笑)。もうひとつ付け加えるならば、カラフルなNOBORI-CUBEです。当院の放射線室は職場環境の改善で椅子や小物にビタミンカラーを多用していてイメージにもピッタリでした。しかし残念ながら、NOBORI-CUBEはサーバ室にあり、めったに見る機会がありません(笑)。

導入から運用開始までに苦労された事は何でしょうか?

2015年12月からNOBORIの運用を開始しましたが、電子カルテの初稼働とCT装置の更新とが同じタイミングであったため、切り替え時は院内調整も含め苦労することがありました。特にPACSに関しては、当初既存PACSからのデータ移行がスムーズにはいかないなどの課題がありましたが、データ移行に際してモダリティ毎にバラバラだったDICOMの患者属性情報を電子カルテから参照して書き換える機能により、過去検査の整合性チエックができた事は良かったです。最終的には旧PACSの過去画像はすべて参照できるようになりました。

こだわりのポイントとしては、院外からの取込データを院内データと混在させないことでした。当院は回復期リハビリを行う病院なので、急性期病院からくる画像は容量も大きく扱いに困っていました。保存の義務のない画像は短期サーバとして270日参照可能とし、必要に応じて医師の依頼により長期サーバに移行させることとしました。専用にNOBORI-CUBEを1台追加し、院外データは全てそちらで管理することにしました。現在まで円滑に運用することができています。

実際にNOBORIを運用した感想をお聞かせください。

稼働してから日が浅い事もありますが、大きな問題もなく快適に利用できています。今後、何か問題や障害が発生した場合でも自動監視ツールがあるため、即座にサポートセンターで対応できる体制になっていることも心強いです。サポート体制は電話とメールがありますが、急がなくてもよい問い合わせにも即時対応していただき、技術的な説明も十分に受けられ、リモート操作によって設定の変更ができるのはありがたいことです。

当院は放射線科医が不在で臨床医が読影を行うため、日々業務で使用するViewerは複雑な使い方はしていませんが、汎用性が高く、目的の表示までのアプローチが少なく済むため、パソコンに不慣れな医師にも好評です。操作方法がわからない場合は、即座に技師がかけつけるという体制をとることにより、信頼関係も深まったように感じます。

臨床医には簡単な所見をReportシステムに入力してもらうこととし、見落としがないかの確認をしています。また人間ドック・健診での、チェック式の所見フォーマット(内視鏡対応、二次読影対応)のレポートも作り、マウス操作による選択だけで簡潔でスピーディーにレポート記載できるようになったことも助かっています。またモバイル端末はポータブル撮影時に過去画像を表示させ、撮影時の参考にしています。

運用してみると、ビューアを使いたい場所が増えるものです。NOBORIは、ビューア、検像、レポートがフリーライセンスですので端末の増加にも対応できました。

最後に、今後NOBORIに期待することを教えてください。

外部読影を遠隔地の放射線科医に依頼しています。現在はCD・DVDで郵送していますが、運搬コストや時間・手間・紛失リスク等を考慮すると全てオンラインにできないかと以前から考えていました。院外からも画像参照できる仕組みや、無料データストレージサービスなども今後展開すると聞いていますので、期待したいと思います。

こんな機能があればいいのにというユーザーの声が新しいサービスへ繋がることを期待しています。

総合リハビリテーションセンター みどり病院

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医療法人新成医会の中核をなす病院で平成14年に開院。①回復期リハビリテーション、②認知症診療、③神経難病診療 の3つの柱で運営しており、どれも現時点では完全に治癒することは難しい疾患ですが、いかに「その人らしく生きるか」という点を中心に患者さんのサポートをしています。

日本歯科大学病院

歯科大学病院でのNOBORIの活用

日本歯科大学附属病院 総合診療科 科長 横澤茂先生

日本歯科大学附属病院
総合診療科 科長

横澤茂先生

NOBORI導入を検討された経緯を教えてください。

2010年からテクマトリックス社のPACSを導入していましたが、更新時にテクマトリックスからNOBORIへの切替えを提案されました。元々オンプレミスサーバでの運用では大きなトラブルもなく利用できていたため、詳細な話しを聞くまではNOBORIにするかは決め兼ねている状況でした。

まず、NOBORI-CUBEのコンパクトさに注目しました。当院では、PACS更新後に電子カルテシステムの更新も控えており、サーバー室のスペースをどの様に確保するかを悩んでいました。NOBORI-CUBEは通常のPCよりもコンパクトで、当院の画像発生容量であれば4台構成になると聞き、スペースの問題は解消できると考えました。

また、当院ではデータ消失の対応策として画像データの2重管理を行っておりましたが、NOBORIでは必ず東西のデータセンターでそれぞれ2重管理、つまり4重管理を行う仕組みのため、更にデータ消失のリスクを軽減できることが分かりました。両データセンターは離れた位置に存在するため広域災害対策にもなり、より安心してデータの管理を任せられることもNOBORIにするメリットだと感じました。

サーバーラックと対比とさせると省スペースであることがよく分かる

他にもNOBORIを採用する上で重要視したことがあれば教えてください。

前述の理由以外にもNOBORI-CUBEでは、耐熱性・耐障害性に優れているため、管理者の負担が軽減できることも魅力に感じていました。しかし、それらNOBORIにするメリットも費用が高額になるようであれば再考する必要があり、オンプレミスサーバを更新した際の費用と比較することにしました。結果的にNOBORIで更新する方が金額的にも抑えられることが分かり、NOBORIを採用することを決めました。

アプリケーションの使い勝手は如何ですか?

パノラマレントゲンや10-14枚法など歯科特有の撮影方法のため、一般的な医科用Viewerでは最適なレイアウト表示を行うことが困難です。その点、テクマトリックスのViewerでは標準パッケージとして歯科の特殊画像表示に対応しています。マッピングソフトから送られた歯式情報を基にViewer側で自動レイアウトされるので、手間なく最適な表示がされます。そのため、専用のワークステーションなどは使用していません。

不均等割りレイアウト/歯式に応じた自動レイアウト

システム構築で苦労された点はありますか?

当院は歯科だけでなく一般診療も行っています。そのため、オーダリングシステムは歯科と医科で異なり、併用した運用が可能でなければいけません。当院ではRISシステムも導入しており、下図のように異なるシステムから同様の通信電文にてオーダ受信と実施情報の送信を行っています。

電子カルテシステムとの連携概要図

口腔リハビリテーション多摩クリニックについて教えてください。

口腔リハビリテーション多摩クリニックでは、地域の医療、介護、福祉関係者の皆様と連携をもとに、くちのリハビリテーションの拠点として活動しています。

もともと両施設はVPNで繋がっていましたが、今回の日本歯科大学附属病院のNOBORI更新に伴い、双方の検査リストをViewer上のタブで切替えられるようにしてもらいました。それにより、読影の依頼も非常にし易くなりました。

日本歯科大学病院

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歯科を中心に内科・外科を併設する歯科大学附属病院として、日々進歩している医学・医療に遅れることなく良質な医療を提供するために、それぞれの診療科や診療センターが核となり最先端医療にも取り組んでいます。

岡山済生会 昭和町健康管理センター

クラウドPACS“NOBORI”を利用した低価格健診用PACS

田淵センター長(左)放射線技師 渡辺リーダー(右)

田淵センター長(左)
放射線技師 渡辺リーダー(右)

はじめに貴院の特徴と、今回クラウドPACSを検討するにいたった経緯を教えて頂けますか?

岡山済生会昭和町健康管理センターの概要は3,4階が健診センター、2階フィットネス、1階カルチャー、レストラン施設で述べ床面積4,651m2の健康増進施設です。
健診部門は年間約22,000人の受診者を充実した内容で快適かつスピーディーに検査し、万一病気が見つかった場合は、岡山済生会総合病院との連携や専門医療機関へのフォロー体制を整えています。
健診業務のうち、画像診断は重要な確定診断の役割を占めており、過去画像を含めて健診の質向上に大きな役割を果たしています。既存のシステムはX線画像の一部を保管するのみで容量オーバーなどもありシステム更新が必要となりました。
今回、テクマトリックスのクラウドPACS「NOBORI」をベースにクラウドのシステムを利用した医用画像健診システムを構築したので特徴、運用状況について報告します。

NOBORI-CUBE

PACSのリプレイスを検討するにあたって、課題とされた点は何ですか、また、導入後のシステムでそれは実現されましたか?

今回、当センターにおいて、システムリプレイスに当たり特に解決したい課題として中心に検討したのは以下の点になります。

1. クラウド化による運用コストおよびイニシャル投資の削減
2. 健診の質向上と画像診断の効率化
3. システム管理業務負担軽減
4. 健診レポートシステムの構築
5. 情報共有化と利便性

それぞれ具体的な検討内容と、採用したシステムの特徴は以下のとおりです。
【クラウド化による運用コストおよびイニシャル投資の削減】
健診業務では、X線画像や超音波画像など大量の画像データを取扱い、さらに近年画像診断装置(モダリティ)の高性能化や過去データの長期保存が求められています。
そのため、健診機関ではストレージの増設や運用管理の負担が増える傾向にあります。外部保管サービスを利用すると、「医用画像保管スペースの削減」「画像管理サーバやPACSなどの設備投資の削減」「システムの保守作業・管理負担の軽減」などのメリット があります。
この結果、月額のクラウド利用料金と読影・所見、診断用のPCのみの費用で、従来型のシステムに比べて格段に格安のシステムが実現しました。

また、当システムのクラウド化は単に健診画像データをストレージするのみでなく、施設内には運用上最小限(1年以内)のデータ保存で、大半のデータはクラウドに保管されており、健診者が画像受付時に過去データを取り込むシステムで、過去数年のデータの呼び出しも3sec以内で運用には全く影響しないことが最大の特徴です。

【健診レポートシステムの構築】
健診用のレポートシステムは、大量の画像データの所見診断を扱うため、正確性とスピーティーが要求されます。詳細な打ち合せを重ね、放射線技師、臨床検査技師や担当医師が利用しやすいシステムの構築を図り、データ入力画面は当センターで独自の開発を行いました。
X線画像や超音波画像は撮影した技師が一次所見を行い、気にかかる部位は追加撮影します。二次および三次所見は技師所見と前回データのもとに最終診断を原則としています。データ入力では、チェック方式としコメント入力も極力マスター化して入力の省力化を図りました。
また、入力したデータは健診システムと連携しています。

胸部所見 / 胃部所見

導入されたシステムの機器構成及びセキュリティ面で考慮されたことをお聞かせ頂けますか?

当センターのシステム機器構成は下図の通りです。今回テクマトリックスのクラウドPACS「NOBORI」を利用し画像のクラウド化を図ったことによりセンター全体のシステムがシンプル化されシステム管理の削減が図られました。

安全性への配慮(災害対策・セキュリティ対策)
クラウドは安全か?世の中に絶対安全というものはありません。しかし、医療情報を扱うに当たって安全は限りなく追及しなければなりません。そこで安全を確保するために、以下の点に考慮したシステムを採用しました。
1. データセンターが、社会的に信頼できるセンターであり、災害にも強い。
2. 施設とデータセンターの通信経路のセキュリティ・安全の確保。

データセンターは厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティを備えており、ISOなどの国際的な認証を受けた安全性を確保。災害対策としては西日本、東日本に拠点をもつクラウドセンターとの契約で、常時2カ所にデータ保管する災害に強い信頼性の高いシステムを選択しました。 また、データの送受信においては、データは施設内で暗号化し、秘密分散技術によりデータ分割して、クラウドセンターに送信、分割保存を行うことで、確実に安全確保ができるセキュリティを講じています。
回線のトラブル対策では、1年以内のデータは施設内とデータセンター保管とし、運用には支障を来さないように配慮されています。データセンターでの保存期間は5年とし、それ以上のデータは磁気テープで返却し、5年以上データが必要な場合は施設内保管よりデータ抽出する仕様としました。

データ処理室 / 診察室

また、岡山済生会総合病院ともデータの共有を行われていらっしゃるとお聞きしていますが、その運用についてお聞かせ頂けますか?

運用が開始されて間もない状況ですが、PACSのクラウド化の導入で機器設置には半日で終了。また大きなサーバ機器の設置もなく、ハードウェアー環境整備は全く意識していません。それに伴って、初期投資やサーバ機器の維持管理も必要なく従来のシステムより大幅に維持管理が削減されました。

また、岡山済生会総合病院とはゲートウェイサーバから専用のLANで連携しています。岡山済生会総合病院を受診時には、当センターのデータ連携が可能となっており、保健と医療の有機的連携が図られます。

岡山済生会 昭和町健康管理センター

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心と体の総合的な健康を、各分野の専門家が済生の心でサポート。

公益社団法人石川勤労者医療協会 城北病院

NOBORIによる2回目のPACS更新

田淵センター長(左)放射線技師 渡辺リーダー(右)

放射線科 科長

坂倉 正樹氏

導入経緯についてお聞かせください

当院は2002年に電子カルテとテクマトリックス社製のPACSを導入、同時にフィルムレス運用を開始。次に2004年にレポートシステムを導入、読影環境を整備しました。

その後、2007年、2010年にハードウェア更新、システム全体のバージョンアップ。昨年2012年に、2回目のハードウェア更新の検討をしている際に、テクマトリックス社よりクラウド型PACS/レポートシステムであるNOBORIの提案を受けました。

従来とは仕組みが大幅に異なるシステムの導入に踏み切った理由としては、月額利用料であることにより更新時にかかる費用を抑えられることもありましたが、単純なハードウェア更新より5年間トータルで費用を低く抑えることもできたため、NOBORIの導入をすることになりました。

NOBORIの導入に際してどのような点を検討されましたか?

今までは、院内にサーバを設置し全ての画像データを保存する一般的なPACSでしたが、NOBORIはサーバレスで院内には専用のNOBORI-CUBEに400GB程しか画像を持たず、残りの画像は全てクラウド上のデータセンターにある仕組みでした。

オンデマンドにデータセンターにしかない画像を取りに行くことはできるものの、従来より画像表示スピードが落ちると医師からクレームが来てしまうことが心配でした。そのための解決策として、NOBORIのSmart Retrieveという仕組みをうまく利用できないかを重点的に検討しました。Smart Retrieveは、電子カルテで入力された外来オーダーや入院退院情報、来院受付、モダリティからの画像受信といった情報を基にデータセンターから診療に必要なデータを400GB程のNOBORI-CUBE内に先読みする仕組みです。

この先読みのルールとして、最初にテクマトリックス社から提示された標準的なルールは、大きく3つでした。(1)当日の予約患者の過去データを3年分、前日夜間に事前取得する。(2)予約外で当日撮影のあった患者に関しては、受付・当日の撮影が行われた情報をキーに過去画像を事前取得する。(3)NOBORI CUBE内の容量閾値を超えたら取得した順番が古いものから(NOBORI CUBE内から)消去するが、入院患者分は退院するまでロックしておく。

当院の運用を踏まえて検討したところ、事前に検査プロトコールを検討する事が多いとの意見が出た。予約患者の過去データも参照するため、(1)のルールを変更する必要があった。結果、ルールをカスタマイズし、1週間後の予約患者データを夜間に事前取得する、というルールに変更しました。

実際に運用開始してみて院内の反応はいかがですか?

最初は上記のルールから外れてしまい、遅いというクレームも少しは上がるのではと心配していましたが、実際に運用開始してみると特にクレームは無く、全体としては従来より画像表示スピードが速くなったと高評価でした。これは院内のNOBORI-CUBE内のストレージがSSDを使ったディスクレスの仕組みを採用していることにより速度アップが図られた為です。また、院内CUBEにデータがなく、オンデマンドにクラウドへ直接取得しにいった場合も、院内にある画像に比べれば遅いのですが、胸部レントゲン1枚で2~3秒で参照可能です。

サーバラックの一部分に収まったNOBORI-CUBE

放射線科内の運用面での変更点としては、NOBORIの検像システムも今回同時に導入しました。従来はCRメーカーの検像システムによりCR画像のみ検像を実施しておりましたが、NOBORIの検像システムにより、全モダリティ検像が可能となったため、CT,MRIの検像も開始しました。間違ってThin-SliceデータをPACSに送ったりすることによる不要なトラフィックを防止することができています。またNOBORIの検像システムは、前回データを自動表示しての検像業務が可能になっているため、効率良く業務を行うことができています。

検像システムの運用風景

今後について、どのようなことをお考えですか?

法人では16の医療機関がありますが、システムは統合されていません。将来的には関連施設のシステムを統合して、患者様毎に透過的に診療データを参照し、更により良い医療サービスを提供していくことができれば、と考えています。

公益社団法人石川勤労者医療協会 城北病院

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1956年、金沢市京町で開設、高度な医療要求に応えられる技術集積と教育、研修機能を備えながら、地域の病院としてのかかりやすさを追求しています。「もっとも弱い立場の方に寄り添う医療」や「いつまでも安心して住み続けられるまちづくり」をスローガンに地域に溶け込んだ形で発展してきました。