CASE STUDY

導入事例

岡山済生会 昭和町健康管理センター

クラウドPACS“NOBORI”を利用した低価格健診用PACS

田淵センター長(左)放射線技師 渡辺リーダー(右)

田淵センター長(左)
放射線技師 渡辺リーダー(右)

はじめに貴院の特徴と、今回クラウドPACSを検討するにいたった経緯を教えて頂けますか?

岡山済生会昭和町健康管理センターの概要は3,4階が健診センター、2階フィットネス、1階カルチャー、レストラン施設で述べ床面積4,651m2の健康増進施設です。
健診部門は年間約22,000人の受診者を充実した内容で快適かつスピーディーに検査し、万一病気が見つかった場合は、岡山済生会総合病院との連携や専門医療機関へのフォロー体制を整えています。
健診業務のうち、画像診断は重要な確定診断の役割を占めており、過去画像を含めて健診の質向上に大きな役割を果たしています。既存のシステムはX線画像の一部を保管するのみで容量オーバーなどもありシステム更新が必要となりました。
今回、テクマトリックスのクラウドPACS「NOBORI」をベースにクラウドのシステムを利用した医用画像健診システムを構築したので特徴、運用状況について報告します。

NOBORI-CUBE

PACSのリプレイスを検討するにあたって、課題とされた点は何ですか、また、導入後のシステムでそれは実現されましたか?

今回、当センターにおいて、システムリプレイスに当たり特に解決したい課題として中心に検討したのは以下の点になります。

1. クラウド化による運用コストおよびイニシャル投資の削減
2. 健診の質向上と画像診断の効率化
3. システム管理業務負担軽減
4. 健診レポートシステムの構築
5. 情報共有化と利便性

それぞれ具体的な検討内容と、採用したシステムの特徴は以下のとおりです。
【クラウド化による運用コストおよびイニシャル投資の削減】
健診業務では、X線画像や超音波画像など大量の画像データを取扱い、さらに近年画像診断装置(モダリティ)の高性能化や過去データの長期保存が求められています。
そのため、健診機関ではストレージの増設や運用管理の負担が増える傾向にあります。外部保管サービスを利用すると、「医用画像保管スペースの削減」「画像管理サーバやPACSなどの設備投資の削減」「システムの保守作業・管理負担の軽減」などのメリット があります。
この結果、月額のクラウド利用料金と読影・所見、診断用のPCのみの費用で、従来型のシステムに比べて格段に格安のシステムが実現しました。

また、当システムのクラウド化は単に健診画像データをストレージするのみでなく、施設内には運用上最小限(1年以内)のデータ保存で、大半のデータはクラウドに保管されており、健診者が画像受付時に過去データを取り込むシステムで、過去数年のデータの呼び出しも3sec以内で運用には全く影響しないことが最大の特徴です。

【健診レポートシステムの構築】
健診用のレポートシステムは、大量の画像データの所見診断を扱うため、正確性とスピーティーが要求されます。詳細な打ち合せを重ね、放射線技師、臨床検査技師や担当医師が利用しやすいシステムの構築を図り、データ入力画面は当センターで独自の開発を行いました。
X線画像や超音波画像は撮影した技師が一次所見を行い、気にかかる部位は追加撮影します。二次および三次所見は技師所見と前回データのもとに最終診断を原則としています。データ入力では、チェック方式としコメント入力も極力マスター化して入力の省力化を図りました。
また、入力したデータは健診システムと連携しています。

胸部所見 / 胃部所見

導入されたシステムの機器構成及びセキュリティ面で考慮されたことをお聞かせ頂けますか?

当センターのシステム機器構成は下図の通りです。今回テクマトリックスのクラウドPACS「NOBORI」を利用し画像のクラウド化を図ったことによりセンター全体のシステムがシンプル化されシステム管理の削減が図られました。

安全性への配慮(災害対策・セキュリティ対策)
クラウドは安全か?世の中に絶対安全というものはありません。しかし、医療情報を扱うに当たって安全は限りなく追及しなければなりません。そこで安全を確保するために、以下の点に考慮したシステムを採用しました。
1. データセンターが、社会的に信頼できるセンターであり、災害にも強い。
2. 施設とデータセンターの通信経路のセキュリティ・安全の確保。

データセンターは厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティを備えており、ISOなどの国際的な認証を受けた安全性を確保。災害対策としては西日本、東日本に拠点をもつクラウドセンターとの契約で、常時2カ所にデータ保管する災害に強い信頼性の高いシステムを選択しました。 また、データの送受信においては、データは施設内で暗号化し、秘密分散技術によりデータ分割して、クラウドセンターに送信、分割保存を行うことで、確実に安全確保ができるセキュリティを講じています。
回線のトラブル対策では、1年以内のデータは施設内とデータセンター保管とし、運用には支障を来さないように配慮されています。データセンターでの保存期間は5年とし、それ以上のデータは磁気テープで返却し、5年以上データが必要な場合は施設内保管よりデータ抽出する仕様としました。

データ処理室 / 診察室

また、岡山済生会総合病院ともデータの共有を行われていらっしゃるとお聞きしていますが、その運用についてお聞かせ頂けますか?

運用が開始されて間もない状況ですが、PACSのクラウド化の導入で機器設置には半日で終了。また大きなサーバ機器の設置もなく、ハードウェアー環境整備は全く意識していません。それに伴って、初期投資やサーバ機器の維持管理も必要なく従来のシステムより大幅に維持管理が削減されました。

また、岡山済生会総合病院とはゲートウェイサーバから専用のLANで連携しています。岡山済生会総合病院を受診時には、当センターのデータ連携が可能となっており、保健と医療の有機的連携が図られます。

岡山済生会 昭和町健康管理センター

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